JFEロックファイバー株式会社

第1回 断熱の役割:我が家と財布と地球を救う!

第1回 断熱の役割:我が家と財布と地球を救う!

1.なぜ断熱が必要なのか(高断熱住宅を必要とする社会的背景)

1-1.地球温暖化防止に不可欠な住まいの断熱

全世界の二酸化炭素排出量は271億トンにも達し、その4.5%が日本で排出されています。すなわち、約12億トンもの二酸化炭素(以後、CO2)が私達の生活や産業活動によって発生している事になります。

二酸化炭素の国別排出量
図 1 二酸化炭素の国別排出量(出典:STOP THE 温暖化 2006、環境省)

また、我が国の2006年度の温室効果ガス(CO2以外の温室効果ガスも含む)の総排出量は13億6,100万トンに達し、京都議定書の基準年に比べて6.2%も上回っています。京都議定書での我が国の削減目標は6%なのですが、削減するどころでなく、増えているのが実情です。

温室効果ガスの排出量の推移
図 2 温室効果ガスの総排出量の推移(出典:STOP THE 温暖化 2008、環境省)

私達の家庭生活で排出されるCO2は、1990年度から2006年度の16年間に30%も増加しました。家庭部門のCO2排出量の増加は、私たちの生活が豊かになった結果でありますが、これを抑える努力が不可欠である事を示しています。

二酸化炭素の部門排出量の推移
図 3 CO2の部門別排出量の推移(出典:STOP THE 温暖化 2008、環境省)

わが国の家庭で消費されるエネルギーの内訳(図4)は、温暖地の住宅では暖房が約18〜24%、冷房が1.6〜3.5%、給湯が23〜32%、照明ほかの電力で38〜46%となっています。 したがって、断熱による省エネは、暖房と冷房を合わせた住宅全体の2割から3割のエネルギー消費に有効です。断熱だけでは全ての暖冷房エネルギーを削減するのは困難ですが、太陽熱や太陽光発電を併用することで、ゼロにする可能性も持っています。

二酸化炭素の部門排出量の推移
図 4 住宅におけるエネルギー消費の現状(出典:自立循環型住宅への設計ガイドライン、財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

1-2. 家計を救う住まいの断熱

近年の石油価格の高騰は異常な状況です。ガソリンの価格高騰ばかりが報道されていますが、平成20年8月の灯油店頭価格は、平成16年の2.8倍にも達しています。灯油暖房は、これまで最も安上がりの暖房というイメージがあったのですが、今後はそうとも言えない状況です。このまま灯油の価格が上昇すれば、断熱性能の乏しい住宅では暖房費が家計を圧迫する事は明らかです。

住宅におけるエネルギー消費の現状
図 5 直近10年間の灯油価格 全国平均、店頭価格(石油情報センター調べ )