JFEロックファイバー株式会社

第3回 断熱材の種類と特長:こんなにあります断熱材と部位構成

第3回 断熱材の種類と特長:こんなにあります断熱材と部位構成

2.断熱材の特長

2-1 素材で決まる断熱材の特長

断熱材は、その素材によって断熱性や吸水・透湿性、燃焼・耐熱性、耐久性、施工性などが異なります。表2にこれらの特長をまとめてみました。
全ての断熱材に優れた特徴と苦手な特徴がありますので、一概にどの断熱材が良いとは言えません。重要な事は、このような断熱材の特徴を理解したうえで、良い特徴を活かし、且つ欠点を補う施工が正しく成されることです。この正しい施工に関する知識を得ることが、このコンテンツの目標とするものです。

【表 2 断熱材の種類と特長】

断熱材の種類 特長
無機繊維系
断熱材
ロックウール 耐熱性に優れた鉱物を高温で溶かしてごく細い繊維状にした断熱材です。床・壁・天井と住宅のほとんどの部位に使用できます。650℃以上の熱にも耐え、有毒ガスも発生しません。撥水性、耐熱性があり防音性能にも優れています。フェルト状断熱材、ボード状断熱材、バラ状断熱材があります。
グラスウール ガラスを細い繊維にして線状に加工した断熱材です。床・壁・天井と住宅のほとんどの部位に使用できます。厚さや密度が高くなるほど、断熱性能にすぐれ、軽くて使いやすい断熱材です。無機質なので燃えず、ガスも発生しません。防音性能や耐久性にも優れています。フェルト状断熱材、ボード状断熱材、バラ状断熱材があります。
木質繊維系
断熱材
セルローズファイバー 天然の木質繊維を利用したバラ状断熱材です。繊維の中にある気泡に含まれる空気が優れた断熱性、防音性を発揮します。木質繊維なので、素材そのものに湿気を吸収したり放出したりする機能がありますので、断熱材の内部結露を防止し、快適な住環境をつくります。
インシュレーションボード 木材から取り出した繊維質をボード状に成形加工した断熱建材です。高い断熱性と吸湿・放湿性を兼ね備えており、内部結露を防ぎます。原材料には、リサイクルされた木材や未利用木材を使用しているので、グリーン購入法の特定調達品目に指定されています。
発泡
プラスチック系
断熱材
ビーズ法
ポリスチレンフォーム
一つ一つの粒の中に独立した気泡構造を持ったボード状の断熱建材です。水や湿気に強いのが特徴で、軽くて加工性、施工性に優れています。金型による成形品のため、自由な形に仕上げることができ、板、筒など様々な製品が製造されています。
押出法
ポリスチレンフォーム
断熱材を建物の外側に張りつける外断熱工法に適したボード状の断熱建材です。断熱性に優れているため、薄くても断熱効果が高く、施工後の重量も軽くすることができます。水に強く、耐久湿性があるため、基礎や土間床の断熱にも使用することができます。発泡剤として、フロン系ガスを使用したものとノンフロン系ガスを使用したものがあります。
硬質
ウレタンフォーム
微細な独立気泡で形成された断熱建材です。気泡には、熱伝導率が極めて小さいガス(空気の1/3)が含まれていますので、とくに断熱性能に優れています。ボード状に加工された製品のほかに、施工現場で直接吹き付けて使用する現場発泡品があります。発泡剤として、フロン系ガスを使用したものとノンフロン系ガスを使用したものがあります。
ポリエチレンフォーム 細かな独立気泡で発泡された耐吸湿・耐久水性の高い断熱建材です。柔軟性に富んでいるので、様々な形状の製品があり、現場ではすき間なく施工することができます。床・壁などのほか、屋根や屋上、配管カバーなど、断熱・防水と用途も多彩です。
フェノールフォーム 独立気泡構造を持つボード状の断熱建材です。素材の安定性が高く、長期間にわたって優れた断熱性能を発揮します。130℃までの使用に耐える耐熱性があり、防火性にも優れています。炎があたっても炭化するだけで、煙や有毒ガスはほとんどありません。
  出典:「住宅の省エネルギー基準早わかりガイド」
             編集発行:(財)建築環境・省エネルギー機構、(社)日本建材産業協会監修:坂本雄三(東京大学大学院教授)

2-2 断熱部位と断熱材形状・断熱工法

断熱材は、その素材と形状によって、部位ごとに工法が異なってきます。断熱部位と断熱材の形状、断熱工法は、一般に表3のようになります。
表3に示した在来構法における各断熱工法の概要を別ウィンドウで紹介します。表3の断熱工法名をクリックしてご覧下さい。

【表 3 断熱部位と断熱材形状・断熱工法の一覧】

素材 繊維系 プラスチック系
形状 フェルト状 ばら状 ボード状 現場発泡
屋根 充填断熱工法 - 外張断熱工法 吹付断熱工法
天井 敷込断熱工法 吹込断熱工法 張付断熱工法 -
外壁 充填断熱工法 吹込断熱工法 充填断熱工法
外張断熱工法
-
充填断熱工法 - 充填断熱工法 吹付断熱工法
基礎 - - 打込断熱工法 -
  ※表示される図は一例です。工法によって異なる場合がありますのでご注意下さい。
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