
第4回 断熱住宅の性能値 数字で確認!“断熱性能”

2-2 熱損失係数及び夏期日射取得係数
熱損失係数(Q値)とは
建物からの熱の逃げ難さを表す数値です。数値が小さいほど建物からの熱が逃げ難いこと、すなわち熱損失が少ないことを示しています。単位は、W/(m²・K)で、床面積1m²当たり、内外温度差1℃当たりの熱損失を表しています。

図 3 Q値の考え方 (出典:住宅の次世代省エネルギー基準と指針(財)建築環境・省エネルギー機構)
熱損失係数の基準
次世代省エネルギー基準(H11年基準)や品確法における“温熱環境に関すること”の等級4では、表2のように地域区分ごとに熱損失係数の基準値が定められ、次世代省エネルギー基準の住宅や、品確法の温熱環境が等級4と呼ばれる住宅は、Q値がこの基準値以下でなくてはなりません。
【表 2 省エネ地域区分と熱損失係数の基準値】
I | II | III | IV | V | VI | |
熱損失係数基準値 | 1.6 | 1.9 | 2.4 | 2.7 | 3.7 |
夏期日射取得係数(μ(ミュー)値)とは
夏の日射熱の入りやすさを表す数値です。数値が小さいほど夏期の日射熱の取得が少なくり、冷房の負荷は小さくなります。 「建物に屋根や壁などの日射をさえぎる物がない場合に取得できる日射熱量」に対する「実際に建物内で取得される日射熱量」を、冷房期間中の平均的な比率で表しています。

夏期日射取得係数の基準
μ値は、省エネ基準では下記のとおり定められています。 次世代省エネルギー基準の住宅や、品確法の温熱環境が等級4と呼ばれる住宅は、μ値がこの基準値以下でなくてはなりません。
【表 3 省エネ地域区分と夏期日射取得係数の基準値】
地域区分 | I | II | III | IV | V | VI |
夏期日射取得係数基準値 | 0.08 | 0.07 | 0.06 |
Q値、μ値の計算方法
Q値やμ値を求めるには、各部位の断熱性能、日射遮蔽性能(日射侵入率)、及び換気回数などの性能値と各部位の面積、気積(空気の容積)の算出が必要です。各部位の断熱性能の計算方法は本コンテンツの後半で紹介しますが、Q値やμ値の計算にはルールがあり、本コンテンツで全てを説明することは困難です。具体的な計算方法は、IBECが発行する「住宅の省エネルギー基準の解説」や「住宅の熱環境計画、平成11年省エネルギー基準に基づく快適な住まいづくり」等をご覧下さい。