
第4回 断熱住宅の性能値 数字で確認!“断熱性能”

3.各部位でみる方法
以下の3項目を確認することが必要です。
これらは、住宅の種類(構造)、断熱材の施工法、部位別に基準が定められています。
- 躯体各部位の断熱性能
- 開口部の断熱性能
- 開口部の日射遮蔽性能
3-1 各部位の断熱性能(熱貫流率による評価)
熱貫流率(K値)という性能値で確認します。
※今まではK値という略称が使われていましたが、今後はU値という略称を用いることになりそうです。ご参考までに
熱貫流率とは

図 4 熱貫流率の計算イメージ
壁などの部位は、単一の材料でつくられていることはまれであり、通常は面状の材料(合板や断熱材など)や空気層などが重ね合わされて作られています。さらに両側の表面に接する空気も2つの空気層と考えられます。したがって、熱貫流率は、それら一つ一つの層における熱抵抗値を合計し、その逆数をとって求められます。言葉で表現すると難解ですが、図4と下の式が理解できれば、以外と簡単です。
![K :熱貫流率[W/m2・K]
Ri :室内側表面熱伝達抵抗(表 4参照)[m2・K/W]
Ro :外気側表面熱伝達抵抗(表 4参照)[m2・K/W]
Ra :空気層の熱抵抗(表 5参照)[m2・K/W]
d :材料厚さ[m]
λ :材料の熱伝導率[W/m・K]](img/pic07.gif)
【表 4 表面熱伝達抵抗(慣用値)】
部位 | 内側熱伝達抵抗(Ri)[m²K/W] | 外側熱伝達抵抗(Ro)[m²K/W] | |
外気の場合 | 外気以外の場合 | ||
屋根 | 0.09 | 0.04 | 0.09(通気層) |
天井 | 0.09 | - | 0.09(小屋裏) |
外壁 | 0.11 | 0.04 | 0.11(通気層) |
床 | 0.15 | 0.04 | 0.15(床下) |
【表 5 中空層の熱伝達抵抗(慣用値)】
空気層の種類 | 空気層の厚さ(da)[cm] | 空気層の熱抵抗[m²K/W] |
工場生産で気密なもの | 2以下 | 0.09×da |
2以上 | 0.18 | |
上記以外 | 1以下 | 0.09×da |
1以上 | 0.09 |
熱貫流率の求め方のルール
A.断面造が一様で構はない部位の熱貫流率
実際の建物では、外壁や屋根、天井などの断面構造は一様ではありません。外壁では、柱や間柱が無い部分(一般部と称します)と柱や間柱がある断面のそれぞれの熱貫流率を求め、面積荷重平均して算出することがあります。この面積荷重で平均した熱貫流率を平均熱貫流率といいます。

図 5 断面構造が一様ではない外壁での熱貫流率の求め方
B.熱抵抗を考慮しない材料等
一般に、屋根や外壁で通気層を構成する部材、例えば図 5では胴縁と外装材(サイディング等)は熱抵抗に加えません。
また、厚さが非常に薄く、熱抵抗がほとんど無いフィルム類やクロスも熱抵抗に加えません。
熱貫流率計算で熱抵抗を考慮しない材料等
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1.通気層を構成する部材で通気層から外側にあるもの
例:胴縁、外装材(サイディング等)など - 2.厚さが薄く熱抵抗がほとんど無いもの
例:フィルム類、クロス類など