JFEロックファイバー株式会社

第4回 次世代省エネ基準 数字で確認!“断熱性能”

第4回 断熱住宅の性能値 数字で確認!“断熱性能”

現行の平成25年基準ではありません。ご注意ください!

最近、住宅の断熱性能を表すものとして
テレビCMや広告などでもみかけるようになってきた熱損失係数“Q値”。
実際、それらは何を表したものなのでしょうか?
今回は、様々な断熱性能を表す数字を紹介します。

1.住宅の断熱性能を表す数字

1-1 断熱性能を確認する

住宅の断熱性能を確認するにはいくつかの方法があります。大別すると、「(1)住宅全体で確認する方法」と、「(2)部位ごとに確認する方法」です。
(1)の住宅全体で確認する方法は、壁や屋根、床、開口部などの断熱性能を一まとめにして確認する方法です。したがって、大きな開口部が欲しい場合、開口部によって弱くなった断熱性能を壁の断熱性能を上げて補う事も可能です。建物全体の断熱性能を計画的にコントロールすることができるので、費用対効果を考慮した計画に向いています。 一方、(2)の部位ごとに確認する方法は、壁や屋根・床・開口部などの部位ごとに断熱性能を確認するものです。部位ごとに一定以上の断熱性能を満たそうとする為、(1)の住宅全体で確認するものに比べて融通が効かないのが欠点ですが、各部位の断熱水準を確実に高める方法です。

(1)住宅全体で確認する方法 A.年間暖冷房負荷(冬、夏) B.熱損失係数(冬)と夏期日射取得係数(夏) (2)	部位ごとに確認する方法 C.躯体各部位の断熱性能(冬)D.開口部の断熱性能(冬)E.開口部の日射遮蔽性能(夏)

これらは、「省エネ法の省エネルギー基準」「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」「住宅金融支援機構」において定められている基準の種類と同じです。上記の確認方法は、住宅の断熱性能の評価方法として一般的に用いられています。

■冬の性能、夏の性能

断熱性能の確認方法には、主にの暖房エネルギーの省エネ性や防寒対策の程度を確認する方法と、主にの冷房エネルギーの省エネ性や防暑対策の程度をみる性能の二種類があることに注意してください。

  • A の「年間暖冷房負荷」は、その名のとおり冬(暖房)と夏(冷房)の両方の性能を表しています。
  • B の場合、冬のための指標として熱損失係数(Q値)が、夏のための指標として夏期日射取得係数(μ(ミュー)値)が用いられます。
  • C の躯体各部位の断熱性能と D の開口部の断熱性能は、各部位の断熱性能を確認する冬の指標となります。
  • D の開口部の日射遮蔽性能は、室内に侵入する夏の日射の遮蔽度を表す夏の性能です。

上記のように、冬と夏の性能を個別に表すものが多いのですが、実は互いに関連しています。「あちらを立てれば、こちらは立たず」というものです。
冬対策として断熱性能を高くすると温かく暖房エネルギーの少ない住宅となりますが、室内に熱がこもりやすくなるので夏は暑くなりやすく、冷房エネルギーも増加する可能性があります。夏は窓に日射遮蔽対策を施すこと(例えば、遮熱ガラスの採用やブラインドの設置、庇や軒の出による適切な日除け等)が断熱強化よりも効果的です(もちろん断熱も重要です)。一方、夏を意識しすぎて開口部の日射遮蔽を強化しすぎると、冬の暖かさに大事な日射を十分に取り入れる事ができないかも知れません。

このように、暖房を立てれば冷房が立たず、冷房を立てれば暖房が立たずのように、断熱と日射遮蔽(遮熱とも言います)は相反する効果を生じる場合があります。
冬も夏も省エネで快適な住宅を造るためには、断熱性能の向上と日射遮蔽などの夏対策の両面作戦でバランスのとれた計画をしなければなりません。

図 1 省エネと居住環境に影響する建物の断熱・遮熱性能

図 1 省エネと居住環境に影響する建物の断熱・遮熱性能
出典:「住宅の熱環境計画 平成11年省エネルギー基準に基づく快適な住まいづくり」財団法人 建築環境・省エネルギー機構

今回は冬対策としての住宅の断熱性能をご紹介します。夏対策については、窓に関すること(日射遮蔽等)が中心となるため、別途開口部の回でご紹介します。