JFEロックファイバー株式会社

第7回 開口部の断熱:窓は★★★でチェック

第7回 開口部の断熱:窓は★★★でチェック

② ガラスの遮熱性能

ガラスの表面に特殊金属膜をコーティングすることで、放射熱を遮蔽、反射、吸収する機能を持たせたものです。このコーティングの種類や位置によって日射や室内放射熱に対する遮熱特性が変わり、同じガラスでも冬の効果を重視したものや、夏の効果を重視したものになります。

住宅では、Low-E膜と呼ばれる特殊金属膜をガラスにコーティングした“低放射ガラス”が良く用いられます。この低放射ガラスを室内側のガラスに用いた「低放射複層ガラス」は、波長の短い日射は室内に透過させ、放射の長い室内からの放射熱を遮るので暖房効果を高める特徴を持っています。一方、低放射ガラスを室外側に用いた「遮熱低放射複層ガラス」は日射を遮る効果があり、冷房効果を高める特徴を持っています。

図 8 低放射複層ガラスの特徴

図 8 低放射複層ガラスの特徴

図 9 遮熱低放射複層ガラスの特徴

図 9 遮熱低放射複層ガラスの特徴

「低放射ガラス」と「遮熱低放射複層ガラス」の特徴を理解すれば、窓の向き(方位)や日当たり具合、部屋の使い方などを考慮して、窓毎に暖房効果を優先するか、冷房効果を優先するかを検討することができます。遮熱計画は、これからの開口部計画のポイントの一つと言えるでしょう。

なお、断熱性能は熱貫流率で判断することが出来たように、遮熱性能は日射熱取得率(η(いーた)値)で判断できます。

日射熱取得率とは、ガラスに入射する日射を1.0とした場合、室内に流入する熱量(直接透過と室内側再放射の和)の割合を示す数値です。したがって、この数値が小さいほど室内に流入する日射が少なくなり遮熱効果が高いことを示します。遮熱を重視する部屋の窓ではη値が小さいガラスを選択し、日射取得を重視する部屋の窓では大きい値のガラスを選択すればよいでしょう。

なお、日射熱取得率はJISで規定されているので製品のカタログでは“日射熱取得率”で記されていますが、省エネ基準では日射侵入率と称していますのでご注意下さい。

図 10 ガラスのカタログ値の見方(例)

図 10 ガラスのカタログ値の見方(例)

前のぺージへ