
第7回 開口部の断熱:窓は★★★でチェック
2. 窓の断熱と遮熱
2-1 窓を構成する材料
省エネ基準では、窓を“ガラス入り建具”と称しています。したがって、この基準では建具の種類とガラスの組合せで地域に応じて使える窓を規定しています。更に、“付属部材”と“ひさし、軒等”を定義し、これらの設置と建具(ガラスを含む)の組合せも規定しています。
このように、省エネ基準では窓を、「建具」「ガラス」「付属部材」「ひさし、軒等」の組合せで定義していることになります。もちろんこれらの構成材料は、窓の断熱、遮熱に有効なものです。
(1) 建具
建具の材料には、一般的によく知られているアルミのほかに、熱を通しにくい樹脂や木材が用いられます。図4に代表的な建具の種類と特性を示します。
建具の材料となるアルミや樹脂、木材の熱伝導率を図5に示します。熱の伝わりやすさを示す熱伝導率を比較すると、アルミは、樹脂や木材の1,000倍以上も熱を通しやすい材料であることがわかります。

図 4 建具の種類と特性

図 5 建具によく使われる材料の熱伝導率
(2) ガラス
① ガラスの断熱性能
ガラスを1枚だけ使用する場合を「単板ガラス」といいます。かつては単板ガラスが主役だったのですが、最近の住宅ではガラス2枚の間に空気層を持たせた「複層ガラス」が良く使われています。複層ガラスは、ガラスの間に封入された空気層が断熱効果を高め、結露し難いガラスとして普及しました。ガラスの間には、一般的には乾燥空気が封入されていますが、乾燥空気よりも断熱性が高いアルゴンガスやトリプトンガスを封入したものもあります。更に2枚のガラスの間を真空層にすることで、ガラスの総厚さが薄くても断熱性能が高い真空ガラスもあります。
表2にガラスの種類を示しました。また、図7はガラスの断熱性能を示す熱貫流率を比較したものです。ガラスの種類によって断熱性能が異なることが良く判ります。外壁並の断熱性能のガラスも市販されています。

図 6 単板ガラスと複層ガラス
【表 2 ガラスの種類】
単板ガラス | 最も一般的な透明な平板ガラスで日射をほとんど透過する。 |
普通複層ガラス | 2枚の板ガラスの間に乾燥空気を封入することで断熱性を高めている。 日射のほとんどが透過する。 |
低放射複層ガラス | 特殊金属薄膜をガラス表面にコーティングしたガラス。断熱性能に優れている。 一般的にLow-Eガラスと呼ばれる。 |
遮熱低放射複層ガラス | 低放射複層ガラスを複層ガラスの室外側に用いたもの。日射遮蔽性能が高い。 |
熱線反射ガラス | 表面に金属酸化物を焼き付けたガラス。日射遮蔽性能が高い。 |
熱線吸収ガラス | 日射熱の遮蔽を主目的に、着色ガラスとして日射熱の吸収性を持たせたガラス。 日射遮蔽性能が高い。 |
真空ガラス | 2枚のガラスの間を真空層とすることで、厚さが薄くても断熱性能を高めたガラス。 |
複層真空ガラス | 真空ガラスと単板ガラスで複層ガラスにしたもの。 |

図 7 ガラスの断熱性能(熱貫流率)
※ 真空ガラス以外の熱貫流率は省エネ基準解説書等に記された代表的な値です。真空ガラスは、メーカーのカタログ値です。
※(A6)などのAは空気、Arはアルゴンを示します。その後の数字はガラス間の中空層の厚さを示します。