
第7回 開口部の断熱:窓は★★★でチェック
3. 窓の選び方
ガラスのカタログには熱貫流率の表示があり、この値でガラスの断熱性能を知ることができます。しかし、サッシのカタログでは製品毎の熱貫流率は示されていません。これは様々な枠とガラスの構成で数多くの寸法の製品を製作するサッシの熱貫流率を全て試験することが出来ないためです。
それでは何を基準に、サッシ枠とガラスを選択すれば良いのでしょうか?
3-1 窓の熱貫流率
表6は建具とガラスを組合せたときの熱貫流率です。この表は、(財)建築環境・省エネルギー機構の「住宅の省エネルギー基準の解説」に示されており、省エネ基準等における評価や申請の際に用いられる値です。建具とガラスの組合せによって窓の断熱性能は大きく変わることが分かります。この表を用いて、建具の仕様とガラスの組合せを決定するのも選び方の一つです。
【表 6 建具とガラスの組合せによる熱貫流率】
建具の構成 | 熱貫流率[W/(m²・K)] | |
建具の仕様 | ガラスの仕様 | |
(一重) 木製またはプラスチック製 | 低放射複層(A12) 三層複層(A12×2) 複層(A12) 複層(A6) |
2.33 2.33 2.91 3.49 |
(一重) 金属・プラスチック(木)複合構造製 | 低放射複層(A12) 低放射複層(A6) 複層(A10〜A12) 複層(A6) |
2.33 3.49 3.49 4.07 |
(一重) 金属製熱遮断構造 | 低放射複層(A12) 低放射複層(A6) 複層(A10〜A12) 複層(A6) |
2.91 3.49 3.49 4.07 |
(一重) 金属製 | 低放射複層(A6) 複層(A6) 単板(A12以上) 単板(A12未満) 単板 |
4.07 4.65 4.07 4.65 6.51 |
(二重) 金属製+プラスチック(木)製 | 単板+複層(A12) 単板+単板 |
2.33 2.91 |
(二重) 金属製+金属製(枠中間部熱遮断構造) | 単板+単板 | 3.49 |
出典:住宅の省エネルギー基準の解説(財団法人建築環境・省エネルギー機構)
3-2 等級表示で選ぶ
住宅に用いる建材に“省エネラベリング制度”があることはご存知ですか?
家電製品は家電量販店などでよく目にしますが、これと同じような制度が窓、ガラス、サッシにもあります。
2007年12月28日に経済産業省より「窓等の断熱性能表示制度について」断熱表示方法のガイドラインが告示されました(2008年4月1日施行)。これは、一般消費者に対する情報提供として断熱性能に関する表示を行う場合に参考とするべきガイドラインです。
表示の対象は、窓、ガラス及びサッシの3種類です。窓、ガラス、サッシごとに、それぞれ、断熱性能による4区分として★印による等級表示を行います。この等級表示は製品本体へのシール貼り、刻印による表示の他、カタログや取扱説明書などの印刷物にも表示してよいことになっています。
したがって、この★印の数で断熱性能を知ることができます。★印が多いほど、断熱性能が高いことを表しています。
【表 7 断熱性能による等級表示】
窓 | ガラス | サッシ | |
ラベルの デザイン |
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★★★★ | 熱貫流率が2.33以下のもの | 熱貫流率が2.33以下のもの | 木製、プラスチック製又は 木若しくはプラスチックと金属との 複合材料製のもの |
★★★ | 熱貫流率が2.33を超え、 3.49以下のもの |
熱貫流率が2.33を超え、 2.70以下のもの |
金属製熱遮断構造のもの |
★★ | 熱貫流率が3.49を超え、 4.65以下のもの |
熱貫流率が2.70を超え、 4.00以下のもの |
金属製のもの(複層ガラス用) |
★ | 熱貫流率が4.65を超えるもの | 熱貫流率が4.00を超えるもの | 金属製のもの(単板ガラス用) |
※窓サッシの表示に関してはこちら