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第5回 次世代省エネ基準:こんなに違う、昔と今

第5回 次世代省エネ基準:こんなに違う、昔と今

現行の平成25年基準ではありません。ご注意ください!

3.「住宅の省エネルギー基準」の比較

3-1 熱損失係数の昔と今

昭和55年(1980年)の制定以降、断熱性能に影響する熱損失係数の基準値は、平成4年と平成11年に見直され、より厳しい断熱性能に移行しています。

また、後述する「住宅事業建築主の判断基準」では、「建築主の判断基準」における熱損失係数を超える値(等級4を超える値)も示されています。この値は、一次エネルギー消費量の計算の為の算定シート中にあるもので、断熱性能の基準値ではありませんが、今後の熱損失係数の強化を示唆しているように思われます。

【表 3 省エネ基準の変遷と熱損失係数の強化】

省エネルギー基準 省エネルギー対策等級 地域区分
I II III IV V VI
旧省エネルギー基準(昭和55基準) 等級2 2.8 4.0 4.7 5.2 8.3 -
新省エネルギー基準(平成4基準) 等級3 1.8 2.7 3.3 4.2 4.6 8.1
次世代省エネルギー基準(平成11基準) 等級4 1.6 1.9 2.4 2.7 2.7 3.7
平成21年改正省エネルギー基準の算定用シート※1
における断熱性能区分(オ)※2
  1.4 1.4 1.9 1.9 1.9 3.7
※3
  • ※1「住宅事業建築主の判断の基準」における基準達成率を求める為の支援ツールのひとつ。
  • ※2 ※1の算定シートでは、熱損失係数を「建築主の判断基準」よりも細かく定義し、等級4を超える熱損失係数を定義しています。(オ)は、最高レベルの断熱性能です。
図 2 省エネ基準の変遷と熱損失係数の強化

図 2 省エネ基準の変遷と熱損失係数の強化

  • ※1「住宅事業建築主の判断の基準」における基準達成率を求める為の支援ツールのひとつ。
  • ※2 ※1の算定シートでは、熱損失係数を「建築主の判断基準」よりも細かく定義し、等級4を超える熱損失係数を定義しています。(オ)は、最高レベルの断熱性能です。

3-2 省エネ基準の改正に伴う断熱厚さの変化

省エネ基準を具体的に数字で比べてみましょう。 表4に、IV地域、木造戸建住宅における断熱材の厚さを比較しました。断熱材など、昔は薄いものでもよかったものが、より性能の高い断熱材をより厚く使用するように基準化されていることがわかります。断熱材の種類や性能は第3回を参照して下さい。 図3や図4のように、断熱厚さの違いをグラフや図にすると、違いが良く判ります。

【表 4 住宅の「省エネルギー基準」におけるIV地域、木造戸建住宅の断熱厚さの変遷】

住宅の省エネルギー基準 旧省エネ基準
(S55基準)
新省エネ基準
(H4基準)
次世代省エネ基準
(H11基準)
レベル 基準 基準 基準 超える仕様
※1
大幅に超える仕様
※2



Q値 Q=5.2 Q=4.2 Q=2.7 Q=2.1 Q=1.9
μ値 - 0.10 0.07 0.07 0.07
断熱材 天井 種類 住宅用ロックウール(マット)(λ=0.038) 吹込み用
ロックウール25K
(λ=0.047)
厚さ(mm) 35 50 155 155 270
種類 住宅用ロックウール(マット)(λ=0.038)
厚さ(mm) 25 35 85 100 130
種類 住宅用ロックウール(ボード)(λ=0.036)
厚さ(mm) 20 20 80 80 105
窓仕様 金属製サッシ

単板
金属製サッシ

複層(AS6)
金属製熱遮断サッシ

複層(AS12)
金属製熱遮断サッシ

LowE(AS12)
  • 出典:住宅事業建築主基準の判断のガイドブック(財団法人建築環境・省エネルギー機構)
  • ※1 開口部強化型におけるR値(断熱材の熱抵抗値)に基づく仕様
  • ※2 躯体強化型におけるR値(断熱材の熱抵抗値)に基づく仕様
図 3「住宅の省エネルギー基準」におけるIV地域、木造戸建住宅の断熱厚さの変遷

図 3 「住宅の省エネルギー基準」におけるIV地域、木造戸建住宅の断熱厚さの変遷

  • 出典:住宅事業建築主基準の判断のガイドブック(財団法人建築環境・省エネルギー機構)
  • ※1 開口部強化型におけるR値(断熱材の熱抵抗値)に基づく仕様
  • ※2 躯体強化型におけるR値(断熱材の熱抵抗値)に基づく仕様
図 4 こんなに違う断熱厚さの例 天井 壁

図 4 こんなに違う断熱厚さの例

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